検索

ピアノが鳴る

私が小さい頃まだ実家は防音のない部屋にディアパソンの白いグランドピアノがあった。このピアノが鳴るのである。勝手に一人で。隣の部屋が茶の間だったので家族で夕ご飯を食べている時「ポーン、ポーン、ポーン」およそ2、3回叩く音がする。あれ?というのは家族全員が聞いている。ピアノの高いドの音だねえ、と。まあ何かの現象かなと気にせずいたわけだが、問題はそのピアノを買い替え、防音部屋にしてさらに大きなベーゼンドルファーのフルコンというアホなピアノを母が爆買いした後に起こった。およそ間取りは一緒でその防音部屋の隣で食事をしているとやはり「ポーン、ポーン。。。」と、同じ高いドが鳴るのだ。たまに換気しているドアを開けているときにしか聞こえないということはやはりピアノが鳴っているのだ。うーん、、これはヤバいぞ。なんかあるぞ、と。しかし何かは確かめようもなく同じ高いドの音をたまに聞きながら過ごした。 そして、その実家からも離れそんなことはすっかり忘れていた。そして3年前母が亡くなるときそのベーゼンを放置するのもなんなのでとりあえず東京の自分の家に運んだ。 どっちにしろ私はピアノを弾かない。受験終わったとたんにピアノはほとんど弾かなくなった。弾いているのはまさかの息子だ。クソガキレベルが弾くようなピアノではないので悩んだがしょうがない、有効利用だ。 そして問題が勃発した。 息子がかなり速いパッセージを練習しているのを隣の部屋で「ケっ」と思いながら聞いていたら「ポーン、ポーン、、、ポーン」あの高いドの音が同時に鳴っているのだ! 同時には弾けない。 この音はあれだ、あの音だ。忘れもしない私が小さい頃から聞いてきたあの高いドの音なのである。そしてその音が鳴ることはもちろん息子は知らない。 練習終わって何気に聞いてみた。 「練習中違う音がなってたよ」 「そうだよ、高いドの音が勝手になって困ったよ」 初めて血の気が引いた。 これはいったいどういうことだ? ピアノにまつわるナンチャラではなく、場所でもなく、なんなんだ? そして私ではなく息子が受け継いだということか? わからない、なんのため、鳴るのか? こういうのを超常現象というのか? 害もなくご利益もないのでどうでもいいのだが気になってしょうがない。 薄気味悪いので部屋の4隅に塩を盛ってみた。 が、猫に荒らされ部屋中塩まみれになったのでもうしない。 共存していくしかないんだろうな、と。 いやしかし、懐かしくもあった高いドの音だった。 いろいろな思い出とともに深く記憶に残る音だ。 今度鳴るときは「おひさしぶり」な感じで聞けそうとはいえ、、 やはり、なぜなのか、知りたい。ぞ、と。

最新記事

すべて表示

Jpop

今更だが最近実はJpopを聴き始めた。別段嫌って聞かなかったわけではない。チャンスが全くなかったのだろう。テレビを見ないラジオを聞かない私には入ってくる予知はなかった。が、しかし最近サブスクでお勧めがたくさん出てくる。YouTubeで勝手に流れてくる。うざいなぁとおもいつつ聴くと、え?いいんじゃ?とその人の他も聴き始める。 話はそれるが、私はつい最近まで植物の「花」の良さは全くわからなかった。 植

素手で土をならす

古い家を壊し整地しまっさらにしてから建売の小さな家を建てて売るという、私のあまり好きではない風景をよく見る。先日も素敵な庭があった家を根こそぎ壊しあと少しで咲こうとしている梅からなにからなにまで掘り起こしてすべて撤去してしまったところを作業の人々が何人かで平にする作業をしていた。聞こえてくるのはわからない言語だ。肌の色や言葉の感じからしてアラブ系である。ニコニコと楽しそうに普段より寛いでいる彼らは

寂寥

Amazonのオススメで出てきた時代小説をポチっとKindleに入れて読んでみた。「心寂し川」(西條奈加)である。 この川とつくものはおよそじーんとする。 読まずにはいられない。と、たくさん出てくる登場人物の名前が把握できずに翻弄されながらも読み進んでいよいよクライマックスまできた。 一人息子を殺された茂十の仇の次郎吉が死んだときの文章がこれだったのだ(長いんで説明できないんで省略) 「たとえ憎し